◆新五合目から六合目 (家からここまで4,377歩)
新五合目で高度に慣れるために40分弱休憩する。 すでに酸素が薄いらしいが私だけ気がつかない。 いつもと同じ呼吸なんだけどな。 どこがどう薄いのかがわからないのだ。 頭が重いという人もいたが、それもない。 休憩所でお茶を飲みつつ「眠い」とつぶやいたら「それは酸素がたりないからだよ」と言われたが、いつでも眠いから酸素のせいではないと思うよ。  
(結果から書いてしまうと今回の登山中、私は一応買っておいた携帯酸素を一度も使いませんでした。 高山病になったら携帯酸素なぞ使っても下山しない限りはよくならないそうです。 そんな場合は無理はやめときましょう。)

そろそろ出発しますかねー、と一緒のバスで来た人たちの中では一番遅い出発となった。

休憩所のおばちゃんに励まされ、登山から帰ってきた人に拍手され(^^;)登山道へと向かう。 入ってすぐに小さい神社があったのでそこで無事に登りきれますようにとお願いして登山開始。
最初は潅木林の中を通る。 樹海よ、樹海、森林浴よ♪とハイテンションなまま登る。 その後はあまりしゃべると体力が減るのでカッコーが鳴き、涌き水らしき水がしたたる草木の横を黙々と登る。 最初のうちは30分程歩いたら5分の休憩をとってただひたすら登っていく。 汗をかかない体質なのにリュックがあたる背中はびっしょりになった。 しばらく登っていくと、広めの登山道が現れ山中湖が見下ろせる場所にでた、風が心地よく吹いて気持ちがいい。 めずらしい高山植物が咲いているけど、あまり詳しくないのが残念だった。 

(登ってまだ2キロ、頂上到達まではあと6時間半とな)


一時間弱登ったところで最初の本五合目の山小屋に到着。 山小屋の外のベンチでヒトヤスミ。 空気が薄いのにはあいかわらず気がつかない(。-_-。) 東京のあの蒸し暑い湿気のある自分の部屋の方が息苦しいよ、と言うとあきれられた。

(六合目への途中でヒトヤスミ、頂上はあんな向こうだよ、風でひげが。。)

◆六合目から七合目◆
まだまだ元気、ひんやりした風が心地よいし、振りかえれば山中湖や伊豆半島も見れて大自然満喫。 ゼリー飲料を多めに持ってきていたので水のかわりにたびたび補給しつつ登る。 (ゼリー飲料、これはお勧め!水よりもするする喉に入っていくし甘さも丁度いいし、胃に負担がかからないようだった。) 気圧で外袋がパンパンに張れたチョコレートも食べつつ30分程登っては5分休んでの繰り返し。 登れ登れ〜。

そのうち太陽が沈んできて、富士山の影が下界に写る。 登っている途中から頂上を眺めれば、いつも見るあの台形の富士山じゃないのに、影はしっかり富士山なのだねえ♪

(手前の赤茶は登山中の富士山、そこから影の富士山を見る)


◆本七合目まで◆ (19,907歩目)
七合目の休憩所で上を見上げると本七合目の山小屋前の鳥居が見える。 あそこまでいったら今日の登山は終わりだ〜、もうすぐだ〜と登るのだが、登っても登っても見えるだけ(笑) 遠近法もなにもあったもんじゃない。 この辺で登山道がジグザクになるのだが、いつまでたっても本七合目は遠くに感じる。 七合目の休憩所で本七合目までは30分もあれば着きますよと山小屋のスタッフの方に聞いたが、いつまでたっても到着する感じがないー。 おまけに10年以上昔に作った右膝の傷が今も無理をすると痛くなるのでそれが心配だったののに、右足ばかりかばって登ったせいだろうか、この辺で予想外の左膝が痛くなりはじめたのでペースが落ちてきた。 でも結局は聞いたとおりの30分で今日の目的地本七合目に到着。

(標高3250メートル、それでも空気が薄いと気がつかないお気楽もの)

◆山小屋にて休憩◆

着いたよ本日の目的地の山小屋へ♪、扉をあけるとすでに5人ほどのお客さんがコタツにあたっていた。 山小屋のご主人が「お疲れ様。 じゃ、最初に写真をとりましょうね」と荷物もしょったままですぐに表に連れ出される。 最初「ええええ!荷物置かせてくださいよお」と思ったのだが、さすがは山のプロ、今ここで荷物を置いて休んでしまったらダラダラしてしまい、日が暮れてしまって写真どころではなかっただろう。 慣れた様子で写真ポイントのところで数枚の写真をとってくださった。 「こんなに疲れている顔の写真も後で記念になりますよー」といいながらパチリ。。。多分すっごい顔で山小屋に入っていったんだね。


(山小屋って思ったよりも小さかったです)

コタツにあたっていたみなさんに聞くとここまで4時間かからないで登ってこれたのは「始めての人では早い」そうだ。 ペースが速いとは思わなかったので少々びっくりした。 やるじゃん自分♪

夕食は白いご飯と佃煮やお新香など。 ガイドブックには「カレーが多い」と聞いていたのでホッとした。 一度疲れていたとき屋台弁当屋のカレーを食べて大変な目にあってから外食でカレーを食べるというのは体調がそうとういい時以外は出来なくなっていたからだ。 最悪夕食は白米だけもらって塩で食べようと思っていたので嬉しかった。
食事をしたらすぐに就寝、寝床は2段ベットのような(というか、押し入れのあの2段がもっと長くなったような感じの)ところに寝る、まだ混雑シーズン前だから一人一組の布団だあ♪ 男・男・男・その妻・女・女という具合に知らない人たちとウナギの寝床な場所で眠る。 よかった、みんな同じ方向に頭があったよ(爆)

◆本七合目からの深夜登山◆
8時には床についたのだが、そんなに熟睡できるわけではない。 30分ごとに目が覚める。 10時に一度外のトイレに行った。 山小屋によっては暗闇で懐中電灯で行くと書いてあったが、ここは電気もついている。 懐中電灯の光だけで、私にとっては苦手な和式、その上水洗ではないトイレというのは怖すぎるので電気がついていることに感謝した。 夜景がとっても綺麗だったよ。
(トイレは宿泊客以外は「一回100円」がどこの山小屋のトイレでもそうでした。)

また30分くらいウトウトしていたらものすごい風の音で目が覚めた。 そして屋根に響く雨音。 「げーっ雨ですかー」と暗闇で人の寝息を聞きながらがっかりする。 真っ暗だろう足場の悪い登山道に雨まで降られたら予定の2時間では登れないだろう。 登ったとしても日の出がみれないのは残念だ。 「たのむ!頼むから雨は勘弁してぇえええ。晴れて晴れて〜」と思いつつまたウトウトしてしまう。
午前1時半に起床、幸運なことに雨はやんでいた。 さっさと支度をし、朝食のおにぎりのお弁当をもらっていざ出発。

外は真っ暗、左手には杖、右手には懐中電灯でもくもくと登る。 寒いかと思って出発の時に着たフリースは15分も歩いたら暑くなって脱いでしまった。 通常の生活でも起きてから1時間はボーっとしている低血圧者、起きてすぐの出発に息も荒く、少々ペースが落ちる。 途中から岩場も多くなり、左膝の痛みもひびいてペースがどんどん落ちてきた。 友人は自分のペースを落とすと逆にダメになりそうだのことで先に進んでもらったので途中暗闇の登山道で完全孤立状態になる。 「ああ、ここで懐中電灯の電池がきれたら怖いよなあ」と思っていたら案の定電池ぎれ。。。それでも富士山の登山道は頂上までずっと先導のロープが張ってあるので一人でも迷うということはまずないらしいが、暗闇なのでなかなか思うようには登れない。 そのうちにやっと暗闇に目もなれてきたので、かすかな月の光や遠く八合目の山小屋の光を頼りに足元に気をつけて登る。 途中団体で登山しているグループが休憩していたので、先頭のリーダーの方に頼んでリュックの中を照らしてもらい予備の電池をとりだし懐中電灯も復活。 そのリーダーから「ゆっくり登ってもご来光には間に合うから、がんばってね。」と励まされた♪ ありがとー♪

◆八合目から本八合目◆
八合目に到着した途端、「どこにいたんだ!こんなに人が沢山!」 というほどに人が多くなってきた。 この辺で一番人気の登山道の河口湖口と合流した模様。 これだけ人がいると頂上まで心細い登山ではなくなった。 (でもピークの時はやっぱり無理だろうと実感、なんせ登山道が狭いからゆっくり登る人が前にいると後がつかえるだろうと思って焦るからね。)  そろそろ岩場が多くなってきて手をついて上がるところも多々でてきた。 足を上げて岩を登るたびに左膝がギシギシと痛む。 それでも闇夜の中だからこそ岩場も一つ一つ後のことを考えずに登れたのがよかったと思う。 これがもし明るくて頂上までの先が見えていながらの登山はきっとヘコんだろう。 途中、後を振りかえるとうっすら東の空が明るくなってきている。 アタシ頑張ってますよー。 だから太陽!もう少しまっててねー♪ つーか、絶対に待つように!(爆)

(東の空が明るくなってきたー、只今3時15分)

◆九合目ってどこよ!◆
無我夢中すぎて九合目がどこだったのかわからなかった。 ひたすら暗闇の中を岩場を時には手も使い這うようにして登っていて途中休憩している人に、「いまどの辺でしょうか?」と聞くと「僕達もよくわからないんですが、たぶん九合目はすぎたと思いますよ。」と言われる。 ってことはあの狛犬の見える鳥居は九合半か?それとも本九合目か?なぞと考える。 今までここまでくるのに七合目のあとは八合目ではなくて「本七合目」とかのまるで「元祖○○ラーメンの店」的フェイントにやられていたので九合半や本九合目があっても当然と思っていた。 まわりの登山者も「頂上どこだー」って言ってるしさ(笑) 左膝は痛いが体力的にはまだまだ登れそうな気分ってのが不思議。 アドレナリンがでて脳内モルヒネ状態だったのかしら?
あの鳥居をぬけたらヒトヤスミできるのよ!と思っていたら。。。。。

そこが標高3776メートルの頂上だった。